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Tepperにおけるアントレ

みなさんこんにちは1年生のNです。暖かい日が続いたと思ったら一昨日急に雪が降ったピッツバーグですが、段々と20度近い気温になる日も増え、日本と同様桜も咲きつつあります。また、学生の間では最近●●の州の●クリニックではコロナのワクチン接種の空きスロットがあるようだ、といった情報が頻繁に飛び交っていますが、ようやく4月19日からペンシルバニア州でも全ての人を対象にワクチン接種が可能になるそうで、少しずつコロナ前の日常に戻っていくことを期待しています。


さて、本日のブログですが、アントレ関連のトピックを投稿したいと思います。私はMBA前の直近4年半程、政府系の組織で研究開発型スタートアップの支援に携わっていたことから、TepperでもEntrepreneurship trackを取っています。


1.ピッツバーグのアントレ状況

アントレやスタートアップというとシリコンバレーやボストン、ニューヨーク、近年はオースティン等が注目されることが多いですが、ピッツバーグも以外とスタートアップやVCの活動は活発になってきているそうです。VC投資額はペンシルバニア州全体でカリフォルニア、ニューヨーク、マサチューセッツ、ワシントン、テキサスに次ぐ全米で6番目ぐらいの規模となっています。カーネギーメロン大学やピッツバーグ大学を中心にAI/ロボティクスやバイオ/ヘルスケア分野等でスタートアップが生まれてきているそう。カーネギーメロン大学はAIやコンピューターサイエンス分野で有名ですが、ビッグテックと呼ばれるAmazon、Apple、Google、Facebook、Microsoftの5社はそれぞれピッツバーグに拠点を持っています。ピッツバーグ発の有名なスタートアップとしては言語教育プラットフォームのDuolingoがありピッツバーグで初めてのユニコーンとしてIPOが期待されています。 また、様々なサイトでログインの時に見られる“私はロボットではありません”のセキュリティやぐにゃぐにゃ曲がった文字を読み取って、その文字をタイプすることでログインすることが出来るシステムを開発したreCAPTCHAもカーネギーメロン大学発のスタートアップです(2009年にGoogleに買収されました。)。

また、カーネギーメロン大学は自動運転の研究も盛んで2007年にDARPA(国防高等研究計画局)が主催したロボットカーレースではスタンフォード大やバージニア工科大、MITのチームを破り優勝し、多くの人材が自動運転関連のスタートアップに参画しているそうです(当時、私もテレビのドキュメンタリーでその様子を見てカーネギーメロン大学の存在を知りました。)。トヨタ・デンソー等とも組んでいるAuroraはカーネギーメロン大学の卒業生が創業者ですし、Fordと組んでいるArgo AIもカーネギーメロン大学の卒業生が中心となって設立されています(Auroraは2020年末にUberの自動運転部門を買収し、企業価値が約1兆円となっているそうです。)。今後、自動運転分野でピッツバーグ発のスタートアップがどのような変革を起こすのか、個人的には非常に楽しみです。


2.Swartz Center

さて、話をTepperに移しますと、Tepperでアントレと言った時に外せないのはSwartz Centerです。Swartz CenterはTepperの校舎の3階にあり毎週イベント(現在はOnlineですが)を実施したり、シェアオフィス等を提供する等、Tepperのみならずカーネギーメロン大学全体のアントレのハブ的な存在となっています(こちらからSwartz Centerが提供している様々なプログラムをご覧頂けます<https://www.cmu.edu/swartz-center-for-entrepreneurship/education-and-resources/index.html>)。Swartz CenterはSequoiaと並びトップVCとして知られているAccel Partnersの創業者のJim Swartz氏(カーネギーメロン大学の卒業生です。)から多額の寄付を受けたことから、その名を冠しています。同センターでは起業家や投資家とのネットワーク構築の機会の提供や夏季休暇にシリコンバレー等でインターンをする上での資金的支援を行うfellowshipプログラムを提供しており、毎年15名程が様々な学科から参加していますが、これもSwartz氏がスポンサーになっているそうです(私も応募しましたが、倍率は非常に高く落選しました。。)。こちらのセンターのボスのDaveという人がスタートアップや投資家に多くのコネクションを持っており、学生にも色々と紹介してくれたりしています。カーネギーメロン大学でアントレを、という方は是非Swartz Centerに足を運んでみて下さい。現在は、コロナにより対面のイベントは実施していないですが、秋以降どのようになるか楽しみです。


3.授業

Entrepreneurship trackで受講が指定されている授業のうち幾つかこれまでに受けたものを紹介します。いずれも共通しているのは、hands-onを重視していると共に、2回に1回ぐらいはゲストスピーカーを呼び、学生とインタラクティブな議論を行うように、理論に留まらず実例・実践に則した学びを重視している点です。また、教授陣の多くが自身でスタートアップを経営していた、エンジェル投資を行っていた、小規模の事業を買収して経営している、といった経験があり、実体験を基に様々なトピックを扱っているところが特徴的です。


① Funding Early Stage Ventures

Frankというおじいちゃん先生が担当しています。この方はアントレ系の名物先生のようで、他のアントレの授業を担当している先生もFrankの授業を受けていた、という話が複数あります。授業はその名の通り、エンジェル・シードラウンドのスタートアップが資金調達をする上での、基本的なプロセス・留意事項を学ぶものです。前半はゆっくりとした話のペースに不安を感じていましたが、実際にエンジェル投資やファンドをマネージしていたFrankの膨大な知見に驚かされました(様々なトピックに参考資料と共にFrankメモというTipsが綴られた資料がついてきます。)。とにかく大量の参考資料を提供してくれるので、興味がある人は授業の内容だけに留まらない学びがあります。ここではエンジェルやVCの投資プロセス・投資基準や重要なタームシートの条項の紹介、資本政策のためのキャップテーブルの作成方法、投資家へのアプローチの仕方等について学ぶことが出来ました。


② Lean Entrepreneurship

こちらはかなり実践に寄った授業で、複数のテーマに分かれてチームを作り、事業を通じてビジネスプラン等を練ったり、ピッチ(事業計画のプレゼン)を行ったりしていくものです。私はTepperや情報/公共政策の大学院のHeinzの学生と組んで、AI等で分析するためのデータのクリーニングのアウトソース・自動化を事業テーマに活動しました。ビジネスモデルキャンバスを活用して、大まかな事業フレームを組み立てつつ、想定顧客に実際にインタビューを行い(チームで25~30名程に行いました)、実ニーズや課題を抽出し、ビジネスプランをブラッシュアップしていきましたが、実際にインタビュー等からの示唆により想定顧客やビジネスモデルをピボットさせる等、起業の一部を疑似体験することが出来、それなりの負荷はありましたが、面白い授業でした。


③ Venture Capital and Private Equity

PEといってもVCを中心にややマクロ的なトレンドと、VCの仕組み(GP(ファンドの運営者)とLP(ファンドの投資者)との関係)・VCが活用する幾つかの投資手法等について学ぶ授業です。こちらは少し理論によった授業になりますが、①や②で扱ったようなスタートアップとVCとの関係と同様にVCと投資家の関係等も扱っており、それぞれがどのような力関係で投資がネゴシエーションされていくのか等も学ぶことが出来、興味深かったです。最終授業では、チーム毎に未公開スタートアップの企業価値評価をDCFやマルチプル等を活用しつつ算出し、クラスメイトに投資プランを発表し、皆で順位付けをして授業を締めくくりました。こちらの授業ではゲストスピーカーとして、起業家やVC、大学の基金の運用者(LP側の視点を共有)が登壇しましたが、西海岸のVCの方の登壇が実現出来たのは、コロナ禍により授業がオンラインに移行しているからでもあり、コロナも悪い影響ばかりではないのだなと個人的には思っています。


④ Entrepreneurial Alternatives

こちらは現在進行形で受けている授業です。今まで紹介してきた授業とは少し毛色が変わりますが、小規模事業を買収したり、今話題になっているサーチファンド、フランチャイズ経営や社会起業家等に焦点を当てたものとなっています。教授自身が長年事業の買収・経営・売却を経験してきており、経験に基づいたそれぞれの手法における各プロセスやTipsを共有してくれる授業です。売り出されている事業が検索できる様々なサービスがあるということに驚きました(調べてみると日本にも同様のサービスはあるようですが。)。



以上紹介してきたのはTepperで提供されているアントレ系の授業の一部ですので、また機会があれば、その他受講する(した)授業についても紹介させて下さい。


また、雑感にはなりますが、多くの授業を通じて感じたのは、米国ではアントレ関係の情報が非常に多く、アプローチし易い形であるな、という印象を受けました。日本ですとスタートアップの情報を得ようとすると1~2つぐらいの代表的なデータベースが出て来ますが、創業から時間の経っていない案件までは載っていなかったりします。こちらには複数のデータベースがスタートアップの情報を掲載しているなど情報量が非常に多いです。また、全米VC協会がTerm Sheetのひな型や併せて条項毎に業界の平均的な割合等のデータを公開している等、多くの知見が一般化・公開されているという点においても、やはり日本とのエコシステムの厚みや積み重ねた知見等に大きな差があるな、と感じています。


以上、徒然なるままに書いてしまいましたが、少しでも皆様にTepperやピッツバーグでのアントレに興味を持って頂けたら幸いです。それではまたの機会に。

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